二人姉妹







第十五話

10/11/30




「なんだか本物の牛のおっぱいを絞っているみたいね。」
 純子が乳房を絞るたびにボールに白濁した母乳が溜まっていく。
「ああ・・・」
 そして美紀はそのたびに切ない声をあげた。美紀の乳房の性感は乳房の大きさに比例するかのように敏感に
改造されていたのだった。
「おっぱいを絞られるのがそんなに気持ちいいの?お姉ちゃんは本当に変態ね。」
「ああ・・・、言わないで・・・ください。牝犬の身体になってからどうしようもないんです・・・」
「ウフフ、そうね、牝犬だものね。牝犬はどこでも発情しちゃう生き物だから仕方ないわね。」
 純子の言葉に抗議しようにも、乳房を絞られるたびに高まる快感に美紀は抗うことすら出来ない。
「ああ・・・そんな、ひどいわ・・・」
 そういいながらも身をくねらせて身悶える美紀の秘部には、すでに恥ずかしい液体が滴るほどに溢れてい
た。ボールいっぱいに母乳が溜まるころには美紀は四つん這いの姿勢を保つのがやっとなほどになっていた。
「ふう、今日の分はもう十分ね。さあ終わったわよ。」
 純子が母乳でいっぱいになったボールを抱えて立ち上がると同時に美紀は地面に崩れ落ちた。頂点を極めそ
うで極められない、歯がゆい快感の波の繰り返しに翻弄され、身体は疲れ果て意識は朦朧としていた。
 しかし、そんな妻の痴態を見せられ歯がゆい思いを感じていたのはクラウスも同じだった。
 クラウスは純子が美紀から離れると同時に美紀に近寄ると、無防備に投げ出された両足の付け根に鼻先を突
き立てた。
「ああクラウス様・・・、もう少し休ませて・・・、それにまだみんなが・・・」
 美紀はかろうじて状態を起こすと恥ずかしそうにクラウスをなだめようとしたが、さんざんじらされたクラ
ウスの陰茎はすでにそそり立っていておさまるはずも無かった。また言葉では抗いつつも沸きあがる性感に押
さえが効かないのは美紀も同じだった。
「ウフフ、私たちはいいのよ。もう行くから気にしないでゆっくり楽しむと良いわ。」
 純子はそんな二匹を気遣ってか、母乳でいっぱいになったボールをメイドに渡すと美紀に背を向けて屋敷に
向かって歩き出した。クラウスは純子のその姿を確認すると、美紀を妻として支配する夫の態度にもどった。
「ウゥゥゥッ」
(ああ、抱かせろというのね)
 美紀は疲れた身体をのそのそと起こすと、クラウスにお尻を突き出して雄犬を迎え入れる牝犬の姿勢を取っ
た。
「ウォーン」
 すでに充分に性器を濡らしている美紀に前戯など必要なかった。クラウスはただ挿入するために勢い良く美
紀の身体に飛び掛った。
「うっ!」
 背中にクラウスの体重を感じると同時に、その分身が美紀の体内に侵入してきた。
「ああ・・・、いい、いいわ・・、ああ、クラウス様・・・愛しています。」
 美紀はすぐによがり声を上げた。そのとき不意に純子が振り返った。
「そうそう、お姉ちゃん。大事なことを言い忘れていたわ。」
「今日はお父さんとお母さんが来るのよ。お姉ちゃんは会うのずいぶん久しぶりね。お父さんもお母さんもお
姉ちゃんに会いたがっていたわよ。」
 しかし、クラウスとの交尾に夢中の美紀の耳には純子の言葉はほとんど届いていなかった。




第十六話

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 犬養家の使用人にリードを引かれ美紀がつれられてきたのは、豪華な邸宅から庭に張り出した陽射しの眩し
いフレンチテラスだった。そこでは高志と純子の夫婦、高志の父母、そして美紀と純子の父母がテーブルを囲
んで昼下がりのお茶の時間を楽しんでいた。
「美紀、久しぶりね。」
 首輪だけの全裸で四つん這いの姿は想像していたものの、大きく垂れた乳房にピアスを施された、まさに家
畜そのものの姿に同様の表情を隠せない両親だったが、最初に声をかけてきたのはやはり母の淑子だった。
「ちゃんと皆さんの言うことを聞いて可愛がってもらっている?」
 席の横でお座りの姿勢をとった美紀に、淑子はやさしく髪をなでてやりながら普通に嫁いだ娘に話しかける
ように問いかけた。
(はい!)
 美紀は久しぶりに母の優しさに触れ思わず人間の言葉が出そうになってしまったが、牝犬は許可がないと人
間の言葉を話すことはできない。美紀は黙ったままこくりとうなずいた。
「そう、よかったわ。」
 淑子は美紀の落ち着いた様子に安心したのか最初の同様からは立ち直っていた。
「そうか、そうか。」
 淑子の横でうなずく和幸も安心した様子だった。
「ところで、ク、クラウス・・・さんとはうまくやっているのか?」
 娘の夫とはいえ相手は犬、犬とはいえ娘の夫、和幸は困惑した表情で美紀に尋ねた。
「・・・」
「お姉ちゃん、お父さんお母さんの前よ。人間の言葉で答えてよいのよ。」
 返事ができず困っている美紀に純子が助け舟を出した。
「はい・・・、とても大切にしていただいています・・・。わたしも・・・、誰よりも、誰よりもクラウス様を大切に
思っています。」
 純子の許可を得て美紀は少し恥ずかしそうに頬を赤らめながらも力強く答えた。
「お姉ちゃんとクラウスはとても仲が良いのよ。今朝だって私たちが恥ずかしくなるくらいだったんだか
ら!」
 牝犬にとっての結婚生活は普通の人間にとっての結婚生活とは大きく異なってそのほとんどは交尾が占める
ことになる。とりもなおさず美紀にとって夫のクラウスとうまくいっている、仲良くやっているということは
激しく交尾をしていることを意味するに他ならない。
 純子の相槌に美紀は頬を赤らめてうつむいた。犬養家の中ではもう当たり前のことであってもやはり両親の
前ではまだ恥ずかしかった。
 純子の恥らう姿に事情を察した両親もあわてて話題を変えた。
「そうそう、今日私たちがここに来たのはね、純子に赤ちゃんができたからなんだよ。」




第十七話

11/3/13




「えっ、本当?」
 父の言葉に美紀は驚きの表情を隠せなかった。結婚しているとはいえ自分よりも若い純子の妊娠は美紀にと
ってはやはり意外だった。
「本当よ、お姉ちゃん。わたし来年にはお母さんになるのよ。」
「おめでとう、純子」
 妹の純子の幸せは美紀にとっても喜ばしいことだった。突然の告白とそれにともなう喜びに美紀はつい動転
して牝犬という立場を忘れてしまい、姉としてのお祝いをのべてしまった。
「・・・」
 一瞬、純子の表情がこわばった。同時に席を囲んでいた家族にも気まずい雰囲気が流れた。
(あっ、しまった!)
 美紀も自分の失態にすぐに気付いた。
「も、申し訳ありません、若奥様。」
 美紀は青ざめて額を床にこすり付けて許しを請うた。
「ふふふ、いいのよ。今日は特別に許してあげるわ。」
「あ、ありがとうございます、若奥様。」
 美紀はこれ以上できないくらいに額どころか顔を床にこすり付けて妹に対して感謝の言葉を述べた。
 美しい服を着て椅子に座ってお茶を楽しみながら見下ろす妹に対して、首輪をつけただけのほぼ全裸の姿で
床に這いつくばって許しを請う姉、他人が見ればこれ以上はないくらいな惨めな姿だったが今の美紀は純子に
許された喜びしか感じていなかった。すでに飼い主に見捨てられることを一番に恐れる牝犬の心がしみついて
いた。
「しかしこれっきりだぞ、ミキ。つぎこんな態度をとったらいくら純子が許すといっても私が許さないぞ。そ
の白い肌が赤く染まるくらい鞭を受けることになるから良く覚えておきなさい。」
「は、はい、若旦那様。こ、これからは牝犬として人間様に対して失礼のないように気をつけます。」
 これまで久しぶりに再会した親子の会話に耳を傾けながらもずっと黙っていた高志が、場をまとめるように
重々しく放った言葉に美紀は全身を震わせて畏まった。高志の鞭は犬養家に嫁いできたころ数回受けたことが
ある。その痛みと恐怖は美紀の脳裏に焼きついていた。
「あら怖い。もういいのよ、高志さん。お姉ちゃんもわかってくれたみたいだから。」
 気まずくなった座の雰囲気を純子が笑顔で切り替えた。
「それよりお姉ちゃん。幸せを私たちだけのものにするのはちょっと残念だと思うの。」
(・・・)
 純子の言葉に、美紀は意味が理解できず目を白黒させた。
「だからね、お姉ちゃんとクラウスにも幸せになって欲しいの。」
 意味がわからないまま困惑する美紀に、純子は一呼吸置いてから重々しい口調でつづけた。
「お姉ちゃんにクラウスの赤ちゃんを産ませてあげたいの。どうかしら?」




第十八話

11/3/15




「えっ・・・!?」
 美紀は純子の言葉の真意がわからず困惑した。
(もちろんクラウス様の赤ちゃん・・・、できることなら私のお腹で・・・)
 しかしそれがかなわない夢であることを美紀は知っていた。いくら牝犬妻として尽くしに尽くし心までを牝
犬身分に堕とそうと、人間としての身体は捨て去ることはできない。 人間の身体で犬の仔を孕むことはでき
ない相談だった。
「どう産みたくないの?」
「・・・もちろん・・・産みたいです・・・。でも・・・。」
 美紀は暗い表情をしてうつむいた。
(わたしはクラウス様の妻として失格だわ・・・。どんなにお仕えしても赤ちゃんを産むことができない・・・)
 美紀に美しい瞳には涙が浮かんだ。
「まちがいなく産みたいのね。それならお姉ちゃん、悩むことなんかないわ。アメリカでは牝犬でも夫の赤ち
ゃんが妊娠できる新しい技術が開発されたらしいわよ。」
「えっ、本当!?」
「ええ、本当よ。ただ、当たり前だけど厳密にはクラウスの赤ちゃんではあってもお姉ちゃんの赤ちゃんでは
ないのよ。それでも大丈夫?」
 人間と犬ではいくら心が通じ合ってもいくら交尾を繰り返しても妊娠はできない。つまりは純子の言う新し
い技術というのは、クラウスの精子で受精した本物の牝犬の卵子を美紀の子宮で妊娠させる技術だったが、美
紀にとって大切なことは『クラウスの赤ちゃんを身ごもりたい』ということだけだった。
「大丈夫です。クラウス様の赤ちゃんが産めるのなら・・・。わたしなんだってします。」
 美紀は顔を上げしっかりと純子の眼を見てこたえた。
(わたしも赤ちゃんが欲しい・・・。クラウス様の赤ちゃんが欲しい。)
 美紀の心に迷いはなかった。
「そう、なら話は簡単だわ。私たち同じころに母親になれるかもね。」
 純子は嬉しそうに美紀に微笑んだ。姉に犬の仔を妊娠させる、人間同士だったころの常識では理解できない
展開に、正直純子にも戸惑いはあったが、好きな夫も赤ちゃんを産みたいという気持ちを共有できることが姉
妹として嬉しくもあった。




第十九話

11/3/20




「お姉ちゃんとこうして一緒に出かけるの、ずいぶん久しぶりね」
「そ、そうね・・・」
 美紀と純子、ふたりがならんで訪れたのは産婦人科の病院だった。最新の医療設備、ホテル以上ともいわれ
る施設を誇るこの病院を利用するのは一部の富裕層に限られている。
「ここはとても素晴らしい病院よ。先生もアメリカに留学していたとても優秀なお医者さんなのよ。」
 すでに検診で数回通院している純子は自慢げに美紀に説明した。
 今日の美紀は牝犬の姿ではなかった。極度に露出度の高い服装ではあったが若い女性らしくレースをふんだ
んに使った可愛らしいブラウスにミニスカートという姿だった。もちろんその下には牝犬らしく何もつけては
いなかったが、尻丘の刻印も乳首や陰唇のピアスも衣服で一応は隠されていて表面上は普通の若い女性だっ
た。
「でも、わたしがクラウス様の赤ちゃんを産めるなんて・・・、そんな夢みたいな話が可能なのかしら?」
 美紀は照れくさそうに頬を赤らめながら呟いた。
美紀が頬を赤らめたのは妊娠、出産への恥じらいからだけではない。牝犬の身分で人間の振りをしてここに存
在することそのものへの恥ずかしさも大きかった。
(ああ、前は当たり前だったのに・・・、今では洋服を着ていることが逆に恥ずかしい・・・。クラウス様と普通に
交尾をして妊娠できたらもっと良かったのに・・・)
 美紀は心の中でそう呟いたがさすがにそれはできない話だった。
 ふたりは待合室で名前が呼ばれるのを待った。
 他の患者がすべていなくなってから純子の名前が呼ばれた。
「犬飼さん、犬飼純子さん。」
 もちろん美紀の名前は呼ばれない。いくら外見だけ普通の若い女性と同じにしても牝犬の美紀には戸籍すら
ない。そもそも『美紀』という名前にしても今となっては愛称のようなものでしかなく正式にあるのは牝犬と
しての登録番号だけでしかない。
 二人は立ち上がって看護婦に案内されて診察室に入った。
「こちらがミキさんですね。」
 出迎えたのはまだ若い医師だった。
「ええ、そうです。以前は私の姉だったんですけど今は牝犬です。」
「こんな可愛らしいお嬢さんが牝犬だなんてにわかに信じられないけど、犬の仔を妊娠したいなんて考えると
ころやはり牝犬の本性は隠せないものなんだね。」
「そうなんです。牝犬になって犬の子を孕むだなんて・・・私にはとてもできないわ・・・。でも私は姉には牝犬と
して命ぜられるままにじゃなくて女として好きな相手の子供を妊娠させてあげたいんです。」
「もしかしたらかえって辛い決断かもしれないけれど、形だけでも女として好きな相手の子供を妊娠する幸せ
を感じさせてあげたくって・・・」
 そこまで言って純子は少し涙ぐんだ。
 純子の言葉で、美紀はこれまでの事情を悟った。実験室のようなところで家畜の人工授精のように処置され
妊娠するものとばかり思っていた美紀だったが、予想に反して妊娠を望む普通の女性のようにあつってくれた
妹の優しさに深く感謝した。
「純子・・・、いいえ若奥様、お気遣いありがとうございます。美紀はクラウス様の子供を産みます。そして今
よりも・・・もっと本物の牝犬らしくなれるように、クラウス様や皆様にお仕えできるようにがんばります。」
 美紀は笑顔で純子にこたえると、両手をブラウスにあてボタンを一つ一つはずしだした。
(きっとわたしが人間らしい服装をするのはこれが最後だわ・・・)
 美紀はブラウスを脱ぐとミニスカートも一気に脱いだ。リングと焼印で彩られた牝犬の姿に戻ると気分が落
ち着いてくるのを感じた。
「どうぞ、この牝犬に夫の赤ちゃんを孕ませてください」
 美紀は床にひざをつき、さらに両手もついて四つん這いの姿勢になると、額を床にこすり付けて若い医師に
懇願した。
 
 いくら交尾を重ねたところで人間と犬では妊娠することはできない。これは愛情の問題ではなく生物として
の宿命であり、最新の医学をもってしても美紀がクラウスの精子を胎内に受けて妊娠することは不可能だっ
た。
 そこで今回、純子と病院側が美紀に試そうとしている方法は、クラウスの精子を使って本物の雌犬の卵子と
のあいだで人工授精をさせ、そこから遺伝子を含んだ核の部分を取り出して美紀の卵子に移植し、美紀の胎内
に戻して妊娠させるというものだった。
 当然生まれてくる子供は純粋な犬であって美紀の遺伝子とは関係がない。しかも動物実験では何とか成功に
こぎつけたものの人間の性を使うのは今回が初めてのことであり、明らかに人体実験であった。
 基本的な検査が終わると美紀はストレッチャーに乗せられて特別室に運ばれた。もったいないくらいの広い
スペースに豪華な調度品で飾られた特別室はもちろん個室である。
部屋の中央にはゆったりとしたベッドが置かれていたが美紀が寝る場所はそこではなかった。部屋の片隅に置
かれた鉄格子の檻が美紀の寝室だった。
「ここならゆっくり子作りに取り組めるわね」
「はい、ありがとうございます。かならず・・・かならずクラウス様の赤ちゃんを身ごもります」
 赤い首輪だけを身につけた恥ずかしい牝犬姿で檻の中に這いつくばる美紀は、床に額を押し付け感謝の気持
ちを伝えた。
「その気持ちを忘れないでね。ミキならきっとりっぱな仔犬を産めるわよ。」
 純子の言葉は優しかったが、それはすでに妹としてのものではなく飼い主としてのものだった。飼い犬では
あるものの姉でもある美紀に犬の子を妊娠させ出産させる、この悪魔的ともいえる行為にのりだしたことによ
って純子の中でも意識の変化がおきていたのだった。
 純子がそういい残して部屋を去るとかわりに看護婦を連れた医師が入ってきた。
「さあ、まずは今後の流れを説明しよう。すでにクラウス君の精子を使った受精卵は用意してあるので、まず
はキミの卵子を採取することからスタートだね。」
 医師はそれから細かい事柄についても説明を始めたが美紀の耳にはほとんど入っていなかった。
 すでに牝犬の心になりきっている美紀はただ成り行きに未を任せ従うだけであって、これから自分にされる
実験の詳細についてはさほど関心もなかった。




第二十話

11/8/8




 いくら交尾を重ねたところで人間と犬では妊娠することはできない。これは愛情の問題ではなく生物として
の宿命であり、最新の医学をもってしても美紀がクラウスの精子を胎内に受けて妊娠することは不可能だっ
た。
 そこで今回、純子と病院側が美紀に試そうとしている方法は、クラウスの精子を使って本物の雌犬の卵子と
のあいだで人工授精をさせ、そこから遺伝子を含んだ核の部分を取り出して美紀の卵子に移植し、美紀の胎内
に戻して妊娠させるというものだった。
 当然生まれてくる子供は純粋な犬であって美紀の遺伝子とは関係がない。しかも動物実験では何とか成功に
こぎつけたものの人間の性を使うのは今回が初めてのことであり、明らかに人体実験であった。
 基本的な検査が終わると美紀はストレッチャーに乗せられて特別室に運ばれた。もったいないくらいの広い
スペースに豪華な調度品で飾られた特別室はもちろん個室である。
部屋の中央にはゆったりとしたベッドが置かれていたが美紀が寝る場所はそこではなかった。部屋の片隅に置
かれた鉄格子の檻が美紀の寝室だった。
「ここならゆっくり子作りに取り組めるわね」
「はい、ありがとうございます。かならず・・・かならずクラウス様の赤ちゃんを身ごもります」
 赤い首輪だけを身につけた恥ずかしい牝犬姿で檻の中に這いつくばる美紀は、床に額を押し付け感謝の気持
ちを伝えた。
「その気持ちを忘れないでね。ミキならきっとりっぱな仔犬を産めるわよ。」
 純子の言葉は優しかったが、それはすでに妹としてのものではなく飼い主としてのものだった。飼い犬では
あるものの姉でもある美紀に犬の子を妊娠させ出産させる、この悪魔的ともいえる行為にのりだしたことによ
って純子の中でも意識の変化がおきていたのだった。
 純子がそういい残して部屋を去るとかわりに看護婦を連れた医師が入ってきた。
「さあ、まずは今後の流れを説明しよう。すでにクラウス君の精子を使った受精卵は用意してあるので、まず
はキミの卵子を採取することからスタートだね。」
 医師はそれから細かい事柄についても説明を始めたが美紀の耳にはほとんど入っていなかった。
 すでに牝犬の心になりきっている美紀はただ成り行きに未を任せ従うだけであって、これから自分にされる
実験の詳細についてはさほど関心もなかった。




第二十一話

12/6/18




 犬養家の広い庭の芝生の上を堂々と歩くクラウスの少し後ろで、美紀は従うように四つん這いで歩いてい
た。美紀は犬養家のメイドたちに時おり鞭で尻を叩かれながらの日課の散歩の途中だった。
 穏やかな日差しの中、首輪以外は何も身に着けない姿で四つん這いで歩く美紀の表情にもはや人間らしい衒
いは少しもなく、その大きく膨らんだ乳房は地球の引力に導かれ無様に垂れ下がっていて、家畜らしさを際立
たせていた。
 しかし膨らんだのは乳房だけではなかった。美紀の腹部もやはり大きく膨らんでいたのだった。
(ああ、眩しい・・・)
 美紀は少し顔をしかめたがそれは陽射しのせいだけではなかった。美紀はクラウスの仔を身に宿していたの
だった。
 美紀が人工的な受胎を最初に試みてからすでに半年が過ぎていた。
 理論上可能であっても現実におこなうとなると必ず成功するとは限らない。さらにたとえ牝犬相手の行為と
はいえども非人道的とのそしり設けかねない実験だったが、成功すれば牝犬にとっては大きな生きがいを得ら
れる実験だったのでかなりの力が美紀に惜しみなく注がれることになった。
 そして数度の失敗のあと、美紀はクラウスの仔を受胎したのだった。
 安定期に入り美紀が犬養家に戻されたのはようやく数日前のことだった。
『犬らしく…』それは美紀の希望でもあり、出産後の環境に配慮した純子を初めとした犬養家の人々や病院側
の希望でもあった。
 美紀は大きく膨らんだ乳房と腹を揺らしながらゆっくりと散歩を続けた。
「おぎゃぁ、おぎゃぁ」 
広い庭を歩き屋敷のリビングの前まで来ると開いている窓から赤ん坊の泣き声が聴こえてきた。
美紀は歩みを止めると窓を見上げた。姿は見えないが泣き声の主は一足先に生まれた純子の子供だった。
 かすかに純子の唄う子守唄も聞こえてくる。
(幸せそうね、純子。わたしももうすぐクラウス様の仔を産んで母親になるわよ)
 美紀は再び顔を下げると先を行くクラウスのあとを追い歩き始めた。