二人姉妹







第七話

10/5/10




 重々しい扉が開くと太陽の光と新鮮な外の空気が一気に入ってきた。
(まぶしい・・・)
 美紀は一瞬顔を横に背けたが目が慣れるとすぐに正面を向き直った。
 ドアの外側はおしゃれなオープンテラス、そこが美紀とクラウスの結婚式場だった。
 ウェディングマーチが流れ、いっせいに拍手が起こった。美紀は、和幸に従ってオープンテラスへと一歩を
踏み出した。
 タキシードで正装した和幸の横に従う美紀の服装は、花嫁らしく純白でそろえられたものだったが、四つん
這いで歩く牝犬らしい恥辱に満ちた服装でもあった。
 花嫁らしく頭にはレースのベールがかけられていたものの、肝心のウェディングドレスはもちろん着ること
など許されるわけもなく、かわりにレースをふんだんに使った白いオープンビスチェを身に着けているだけだ
った。そのため四つん這いで進む美紀の恥ずかしい秘裂は後ろからは丸見えだったし、豊かな乳房も来客の視
線にさらされていた。
(大丈夫か?)
 心配そうに和幸が小さい声で美紀に問いかけた。
(ええ、大丈夫)
 美紀は無言のまま和幸の言葉にうなずいた。
(どんなに恥ずかしくたって頑張って見せるわ・・・)
(だってわたしはクラウス様のお嫁さんになるんですもの・・・)
 美紀は和幸の横を顔を上げて一歩一歩前に進んだ。二人の前では牧師と高志それにクラウスが待っていた。
 牧師の前に美紀たちが到着すると賛美歌の斉唱が始まった。美紀はクラウスと並んでお座りをして賛美歌を
聞いた。
(ああ・・・本当に結婚するんだわ・・・)
 いろいろな思いがこみ上げてきて美紀の瞳に涙があふれた。
 賛美歌が終わると、つづいて神父による聖書の文章の朗読が始まり、それが終わると結婚式のハイライトの
一つである愛の誓いの
「・・・・汝は、その健やかなるときも、病めるときも・・・」
 もちろん牧師と言っても本物ではない。ただの犬の結婚式に本物の牧師がくる必要もなく儀式を盛り上げる
ための手段でしかない。しかしそれでも厳かにもっともらしく式は進んだ。
「・・・その命ある限り、愛し合うことを誓いますか?」
 牧師の言葉に真っ先に返事をしたのはクラウスだった。
「ワン!」
 自信に満ちた大きな声だった。利口なクラウスに会場から拍手が起こった。
来客によるクラウスへの賞賛は美紀にとっても嬉しいことだった。
「ワン・・・」
 クラウスよりはいくぶん小さな声だったが、美紀も牝犬らしく永遠の愛を誓ったのだった。




第八話

10/5/24




「二匹は神の御前で永遠の愛を誓いました。牝犬となりクラウスの妻になった美紀に、犬養家がクラウスの妻
また犬養家の飼い犬の証として首輪を用意しています。」
 牧師の言葉を受けて高志が赤い革製の首輪をとりだした。
「・・・」
 美紀は夢遊病患者のごとく促されるままに黙って首を差し出した。細い首に赤い首輪が巻かれると会場から
拍手が起こった。
ほとんど身体を覆ってはいないとはいえ、美紀の白いウェディングドレスに真紅の首輪は良く映えていた。
(これでわたしはクラウス様のお嫁さん・・・)
 美紀は心の中で唄うように繰り返した。自然と心の中に熱いものがこみ上げてきて、恥ずかしそうにクラウ
スのほうを向いた。クラウスも美紀を見つめていた。クラウスのその瞳には人間の女を牝犬に堕とし、妻とし
たことへの自信がみなぎっていた。
 二匹の心が通ったことを見届けると、牧師は重々しく式場の全員に告げた。
「神の御前で夫婦となった二匹に、お祝いに駆けつけてきてくれた方々に愛し合う姿を披露していただきまし
ょう。」
「えっ・・・」
 拍手はすでにおさまり静寂が式場にもどっていた。そのため美紀が上げた小さな驚きの声も式場に響いた。
式場は静寂に包まれたままだったが、それでいながら淫靡な雰囲気が漂い始めていた。来賓はみんな牧師の言
葉の意味を理解していたからだった。
 しかし美紀はまだ牧師の言葉も場内の雰囲気も理解できないでいた。
(キスをすれば良いのかしら・・・でも犬同士はどうやってキスをするの?)
 戸惑う美紀に助け舟を出したのは純子だった。
「お姉ちゃん、犬同士が夫婦になって愛し合うといったら決まっているじゃないの。さあ、そのお尻をクラウ
スに差し出すのよ。」
 純子はそう言うと、手にしていた鞭で美紀の尻丘を強く打った。
「ひいっっ・・・」
 美紀の白い尻にくっきりと赤く鞭のあとが浮かんだ。
「さあ、クラウスがお待ちかねよ。それとももう一発お見舞いしたほうが良いかしら」
「ああ・・・鞭は嫌・・・」
 美紀はもぞもぞと身体を動かすとクラウスに向けてその美しい尻を差し出した。雄犬に尻を差し出す以上、
次に何が起こるか、さすがに鈍感な美紀にも察しが着いた。
(ああ・・・まさか、こんなみんなに見られているところでなんて・・・)
 牝犬になると覚悟を決めたときから、いつかこういうときが来ることは美紀も覚悟していた。
しかし実質はどうであれ、美紀もやはり女の子らしく自分の結婚式にはロマンチックな思いを抱いていた。た
とえ辱しめられるためだけのような結婚式であっても、純白のウェディングドレスに身を包み、神の御前で永
遠の愛を誓うのである。その結婚式で、みんなの見ている前でこうして雄犬と結ばれることになるとは想像も
していなかった。




第九話

10/6/19




(ああ・・・、惨め過ぎるわ・・・)
美紀の頬を涙がながれた。そんな美紀の心情を妹の純子はきちんと察していた。
「お姉ちゃん、牝犬になればもっともっと恥ずかしい、惨めなことはあるものよ。でも牝犬になった以上、そ
の恥ずかしさや惨めさを喜びに変えていかないと駄目よ。さあ、みなさんの見ている前でクラウスと結ばれな
さい。」
 純子が目で合図を送ると高志はクラウスの背中を軽く叩いた。
「さあ、美紀を、本当の意味での牝犬にしてお前の妻にするんだ。」
「ウォーン!」
 高志の言葉に励まされてクラウスは美紀の身体に飛び掛った。
(あっ、いやっ・・・)
 クラウスの鼻先が美紀のさらけ出された陰部にあたった。獣特有の湿った生臭い息を吐きながらクラウスは
美紀の牝芯の匂いを嗅ぎまくった。
「いっ、いやっ・・・」
「ふふふ、逃げちゃ駄目よ。クラウスがお姉ちゃんが本当に自分の妻にふさわしい牝犬かどうか調べているの
よ。クラウスが匂いを嗅ぎやすいようにもっと脚を開きなさい。」
 身体をよじらせてクラウスの鼻先を交わそうとする美紀を叱りつけて、純子はさらに恥ずかしい命令を下し
た。
(ああ、そんな・・・できないわ・・・)
 しかし心とは裏腹に身体は純子の命令を素直に受け入れていた。美紀の脚が少し開くとクラウスはさらに鼻
先を押し付けてきた。そして匂いを嗅ぐだけでなく、長い舌を伸ばしてまだ汚されていない薄桃色の秘裂を舐
め上げた。
 それは人間の男性がするような愛撫のようなものではなく、肉食動物による獲物の味見というべき濃厚なも
のだった。
「ああっ・・・」
 美紀は思わず悲鳴を上げた。美紀の反応を見てクラウスはさらに激しく舌を使い始めた。
(ああっ・・・だめよ、みんなが見てるわ・・・。)
(せめて取り乱さない・・・ように・・・だけは・・・しない・・・と・・・)
 しかし無駄な抵抗だった。クラウスの舌は官能の液を滲ませ緩く開き始めた美紀の秘裂に、抉り込むように
進入してきた。
「ああっ・・・駄目・・・、わたし、おかしくなっちゃう・・・」
 美紀は必死に冷静さを保とうとしていたが無駄な抵抗だった。美紀の腰はすでにクラウスの舌を求めていや
らしくくねくねと振られていた。
「ふふふ、お姉ちゃん、とうとう本当の意味で人間を捨てるときがきたのよ。さあ腰を高く上げてクラウスを
受け入れるのよ。」
「・・・はい・・・」
 美紀にはすでに抗う気持ちはまったくなかった。純子の言葉に素直に答えると肘を床について背中をそらせ
て美しい尻を高々と上げてクラウスを迎え入れる姿勢をとった。




第十話

10/7/05




 自分の唾液と淫らな蜜にあやしく濡れた、自分の妻となる牝犬の秘部をクラウスは満足げに見つめた。その
姿は人間の女を屈服させた自信にあふれ堂々たるものだった。
(ああ・・・恥ずかしいわ・・・)
 何もされなくても、美紀には背後から自分の秘部を見つめるクラウスの視線は痛いくらいに感じられた。
(ああ・・・もう・・・早く犯して・・・)
 プライドをすべてなぐり捨てすべてを晒しているだけに美紀には焦りが出てきた。
(こんなさらし者みたいなのは辛すぎるわ・・・。クラウス様、お願いです。どうぞ哀れな牝犬を妻にしてくだ
さい。)
 処女の美紀には相手を銅誘えばよいのかは分からない。それでも美紀はすがるような気持ちで誘うように腰
をくねらした。
「ウォーン!」
 美紀の心が通じたのかクラウスが動き出した。ゆっくりと美紀の背後から覆いかぶさるようにのしかかると
股間の肉棒を美紀の秘裂に押し当ててきた。クラウスの粘液であやしく光る肉色のその肉棒は普通の人間のも
のよりもだいぶ大きかったが、顔を床に押し当てて尻を雄犬に捧げている美紀にはそれすらも分からないこと
だった。
「ああ・・・クラウス様・・・嬉しい・・・」
 首筋にかかる獣臭い吐息に、美紀はその瞬間が近いことを悟って上体を少し上げて振り返った。
「ハッ、ハッ・・・」
 クラウスの息も荒くなっていて長い舌を美紀の顔のすぐ横にたらしていた。美紀も舌を伸ばすと二匹の舌が
触れ合った。
(来て・・・)
 それが合図になったのかクラウスは一気に体重をかけてきた。
(いっ、痛っ・・・)
 初めて異物を受け入れる美紀の秘裂を引き裂くようにクラウスの肉棒が入ってきた。肉体を裂くような痛み
に美紀は一瞬小さな悲鳴を上げたが、抵抗らしい抵抗をすることもなく二匹は一瞬にして完全に結ばれた。
「嬉しい・・・」
 まだ続く痛みに眉をしかめつつも美紀はクラウスの耳元にささやいた。
(ああ、これで本物の牝犬になったのね。クラウス様の妻になったんだわ。)
 処女を捧げ感傷にひたる美紀だったが、一方クラウスの方はそういう乙女チックな感情は持ち合わせていな
かった。
 クラウスは征服した牝犬をさらに確実に自分のものにすべくゆっくりと腰を動かしだした。そしてその動き
を次第に加速させていった。
(ああ、なに・・・これ・・・)
 セックスが何たるかをまだ良く知らない美紀は焦ったが次第に妖しい快感が体の心から沸き起こってくるこ
とを感じた。
(ああ・・・だめ・・・変な気持ちになってきちゃう・・・)
 美紀の息が荒く、そして淫らになってきているのをクラウスも感じていた。しかしクラウスが腰の動きを緩
めるはずもなかった。
(ああ・・・だめ・・・、ああ・・・もっと・・・)
 美紀の目はすでに焦点が合っていなかった。だらしなく涎をたらし雄犬に身をゆだねるその姿はもう人間と
呼ぶには相応しくなかった。
「あらら、よほど相性がよいみたいね。人間と犬で最初からこんなにうまくいくなんてきっと珍しいこと
よ。」
 純子の嘲笑も家族や招待客の好奇な視線も、美紀にはまったく関係なかった。ある意味、それは牝犬として
当然のことだろう。美紀の頬を流れ飛び散る涙は、もう痛みからの涙でもなければ屈辱に耐える涙でもなかっ
た。それは人間として暮らしてきた自分への決別の涙であり、牝犬という自分本来の姿を得た喜びの涙であっ
た。




第十一話

10/7/19公開、10/9/22改編




 無事に処女を夫に捧げた若妻に式場では盛大な拍手が沸き起こったが、美紀には盛大な拍手も、おもに同性
による嘲りや侮蔑の言葉も遠くの出来事のように思えて、現実のようには感じられなかった。
 一般に犬の交尾は他の哺乳類にくらべて長い。そしてクラウスの交尾はさらに長く、人とくらべても長く、
さらに激しいものだった。
 白く透き通った肌を薄桃色に染めた美紀の身体にひんやりとした下腹を押し付けて、背後から筋肉の発達し
た前足でしっかりと抱きしめると、首筋や耳のうしろなど美紀の敏感な部分を優しくかつ的確に舐めまわし
た。
「ああ・・・クラウスさま・・・」
 美紀が甘い官能に身をまかせ肢体を悶えさせていると、つぎはいきなり激しく腰を降り出して美紀を翻弄し
た。
 主導権は完全にクラウスが握っていた。クラウスの巧みな性技に、ついさっきまで処女だった美紀はひとた
まりもなかった。
「ああ・・・もうだめ・・・、ゆ、ゆるして・・・」
 激しい獣の交尾に眉をしかめ涙を流して許しを請いつつも、肢体は吸い付くようにクラウスの肉棒を挟み込
んで離さない。辛いのになぜか気持ちよい、相反するはずなのになぜか違和感のない初めての感覚に美紀の理
性は奪われていった。
「ああ・・・いい・・・気持ちいいの・・・」
「ああ・・・も、もうだめ・・・ああ・・・」
 クラウスの射精が始まったのはすでに美紀が何度もの絶頂を極めたあとだった。
「ウォーン!」
 気持ちよさそうに目を細めてクラウスは、渾身の勢いで美紀の背後からその肉棒を挿し込んできた。そして
大量のクラウスの獣液が美紀の体内に放たれた。
(ああ・・・クラウス様の精液が・・・わたしの中に入ってくる・・・)
(ああ、あたたかい・・・)
 すでに朦朧としながらも美紀は自分の体内に放たれる獣液の感触を感じていた。
(ああ、クラウス様の赤ちゃんが欲しい・・・)
 体内深くに放たれたクラウスの獣液は、牝犬としての心だけでなく母性すら美紀の心に刻み込んでいたのだ
った。美紀は幼少のころのような幸せな安心した気持ちに包まれながらゆっくりと気を失っていった。




第十二話

10/10/05公開 10/10/17改編




「初めての交尾なのによっぽど気持ちがよかったみたいね。まるで生まれながらの牝犬みたいだったわ。」
 ようやく目をあけた美紀に純子が語りかけた。
クラウスが身体をはなすと同時に床に崩れ落ちた美紀だったがすぐに目を覚ました。美しい両足の付け根から
は、処女だった証の鮮血とクラウスの白濁した獣液が滴っていた。
(・・・そうなのよ・・・わたしは生まれながらの牝犬なのよ・・・)
 美紀はゆっくりと身体を起こすと、側で心配そうに眺めていたクラウスにキスをした。
「クラウス様、心配してくれてありがとう。でももう大丈夫よ。」
 美紀は恥ずかしそうにはにかむと四つん這いの姿勢にもどった。
「上出来だったぞ、ミキ。我が家の飼い犬に相応しい牝犬っぷりだったよ。」
 まるで本物の犬にするように美紀の髪の毛を撫でながら高志は満足そうに言った。
「ミキはクラウスを受け入れて妻になったんだ。犬の妻になった以上人間と同じ身体というわけにはいかな
い。ミキの身体に牝犬の証を刻まなければならない・・・」
「・・・」
高志の言葉に美紀は一瞬身体を硬直させた。横で聞いていた純子も同様だった。初体験を終えたばかりで男女
のことについての知識はまだ乏しい美紀だったが、高志の言葉の意味はわかっていた。
「怖いかい?」
「・・・」
「無理はしなくても良い。怖いだろう。でもこれは大切なことだよ。」
「はい・・・」
 美紀はコクリとうなずいた。美紀がうなずいたのを見て高志は係員に合図を送った。
しばらくして係員が場内に運んできたのは大きな鋳物の壷だった。
「おお・・・!」
 場内にどよめきが起こった。壷の中には真っ赤に熱せられたコークスが入っていて鉄で作られた焼き鏝が2
本差し込まれていた。次に美紀が受ける儀式はたんに羞恥というレベルにとどまるものではないことは明らか
だった。
 冷静に運命を受け入れようとしていた美紀だったが、さすがに熱気が伝わってくるところまで壷が運ばれて
くると身体の震えを押さえられなくなってきた。
カチカチカチ・・・
 歯が音を立てて鳴り出した。これから美紀が受ける苦痛は、これまでの人生で一度も受けたことがないほど
の苦痛であることは明らかだった。しかしそれでも逃げ出したいと言う気持ちは不思議となかった。
(わ、わたし・・・、我慢できるかしら・・・)
 牝犬として恥ずかしくないように振舞わなければいけない・・・美紀は悲愴な気持ちで手足に力を入れた。
 係員が美紀の口をあけタオルをかませ高志に合図を送った。
「さあ、いくぞ!」
 高志も緊張していたがそれでも平然を装って焼き鏝を手に取った。焼き鏝の先端には板状になっていて文字
が刻まれている。そしてその部分はコークスの炎に熱せられて赤く焼けていた。
(ああ、ああ・・・、もう、どうにもならない・・・)
 美紀の額を汗が流れた。美紀は小刻みに身体を震わせながらも尻を高志に向かって突き出すと固く目を閉じ
た。美紀のけなげな決心に答えるように高志は無言で赤く焼けた鉄の刻印を美紀の白く汚れない尻丘の右側に
押し当てた。




第十三話

10/10/17公開




「むぎゃぁっっっっっっ!」
 タオルを噛み締めていても美紀の口からは獣のような大きな悲鳴があふれた。人生で初めて経験する痛いと
いう言葉では表現しきれない肉体を焼かれる痛み。意識が途切れそうになりながらも美紀は耐えていた。
 会場には肉の焼ける匂いが漂った。焼き鏝が美紀の尻丘から離されると赤黒く焼け爛れた『牝』の文字がは
っきりと刻まれていた。
「おおっ!」
 会場の招待客からは歓声が湧き起こった。最近では牝犬の存在がだいぶ身近になってきたとはいえ、目の前
で焼印が施されるところを見たものはまだそれほど多くはなかった。
「もう一ついくぞ・・・」
「はい・・・」
 高志の言葉に美紀はしっかりと答えた。
 高志はもう一つのほうの焼き鏝を手に取った。高志の額を大粒の汗が流れ落ちた。
「・・・」
 無言ながらも高志が緊張しているのは誰の目にも明らかだった。罪も無い女性の肉体に、一度ならず二度ま
でも生涯消えることの無い烙印を刻み込むのである。善良な精神の持ち主である高志には荷が重い行為だっ
た。
「高志さん、お姉ちゃんを本物の牝犬にしてあげて!」
 緊張し硬直する高志を救ったのは純子だった。純子は小刻みに震える高志の腕に手を当ててながら励まし
た。
「ああ、そうだね。さあ、いくぞ!」
「・・・」
 高志は気を取り直すとそのまま一気に焼き鏝を美紀の尻陸に押し付けた。
「ふぎぃぃぃぃぃぃっ!」
 美紀は再び獣じみた悲鳴を上げて背中をそらした。
さきに押された焼印の跡も激しく痛んでいるうえでのさらに重ねられた痛みである。幹は白目をむいて口から
は泡を吹いていた。なんとか意識はあるものの、視界が狭まり考えることがまったく出来ない。なぜ痛いの
か、どう痛いのかすら今の美紀にはわからなかった。
焼き鏝が離されると美紀は急に身体から力が抜け床に崩れ伏した。
(・・・ク、クラウス・・・さま・・・)
ぼやける視界のなか美紀はクラウスを姿を追った。
クラウスは正面でしっかりと美紀が牝犬の身分に堕ちるのを見ていた。
「クゥォーン!」
そして満足そうに遠吠えをあげた。
(クラウスさま・・・、美紀は牝犬に、クラウス様の妻になりました・・・)
 クラウスが満足した姿を見て美紀は安心するとそのまま意識を失った。
 さっきまで傷一つない美しかった美紀の尻丘には、赤黒く焼け爛れた『牝犬』の二文字がしっかりと刻まれ
ていた。




第十四話

10/11/01




  恥辱と苦痛に彩られた結婚式から半年、その間に純子と高志も入籍していた。そして美紀も純子とともに
住まいを犬養家に移していた。
 しかし同じ敷地に一緒に住んでいるとはいえ、豪華な邸宅の中の豪華な部屋に次期当主の妻として住む純子
と美紀の生活はあまりに異なっていた。庭に建てられたクラウスの住む犬小屋が美紀の住まいだった。そこは
犬小屋と呼ぶには相応しくないくらい立派なものだったがやはり犬小屋は犬小屋でしかない。
 美しい服、おしゃれなアクセサリーに着飾った妹の純子、それに対して四つん這いで這い回る美紀に着るこ
とが許された衣服などあるわけも無く、それどころか本来だったらもっとも大切なそして恥ずかしい場所を隠
す大人の女性の証である飾り毛さえすべて失われていた。それは剃ったのではなく永久脱毛されたものだっ
た。
普通の人間とは異なる身体、牝犬に相応しい身体、そのためには尻丘に押された『牝犬』の焼印だけでは足り
なかった。身を守る飾り毛を奪われた剥き出しの淫部には変わりに一対のリングが穿たれていた。そして同じ
リングが、家畜らしく巨大なものに改造された乳房の先端の桜色の乳首にも穿たれていた。
「お姉ちゃん、おはよう。」
 二人のメイドを従えて純子が美紀とクラウスの住む犬小屋の前に現れたのは、まだ早朝と言ってもよい時間
だった。
「わん!」
「プライベートの場なんだし言葉を使っても良いのよ。」
 純子を見つけてお座りの姿勢をとって犬のように挨拶をした美紀に、純子は人間の言葉を使うことを許し
た。
「おはようございます。若奥様・・・」
 美紀は恥ずかしそうに頭を下げた。
 姉妹とはいっても純子はこの家の次期当主の妻であり、自分はその飼い犬である。言葉を使うことが許され
ると、美紀はその身分の差がさらに強調される気がした。
「今日は良い天気ね。さあ、今日も高志さんのために美味しいミルクを出してね。」
「はい・・・」
 犬養家では次期当主の妻が夫のために牝犬の乳を搾る習慣がある。純子も高志のために、毎朝美紀の乳を搾
るのが日課だった。
美紀は純子の前まで四つん這いで進むと純子が乳を搾りやすいように姿勢を正した。
 純子は上品にスカートの裾を気にしながらしゃがむと美紀の乳房の下にステンレスのボールを置いた。
「立派なおっぱいね。お姉ちゃんはペチャパイだったから素敵に改造してもらってよかったわね。」
「はい・・・、ありがとうございます。」
 純子が誉める美紀の乳房は確かに立派なサイズだった。しかしそれは女性として魅力的というものではなく
乳を搾るための家畜としてのためのものだった。