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牝犬の保護及び管理などに関する法律
第一話
06/11/29公開
その日も水原奈緒は会社で、送られてきた書類のデーターをパソコンに向かって打ち込んでいた。奈緒の勤め
る会社はそれほど大きい会社ではなかったが『牝犬』を取り扱う会社としては大手と呼ばれる会社だった。
「それにしても牝犬になりたがる女性って結構いるものね」
となりで同じようにパソコンに向かっていた町谷紀子がつぶやいた。
「ホントねぇ・・・、牝犬になるってどんな気持ちなんだろう・・・」
「きっと変態なのよ。普通の女なら牝犬なんかになるくらいなら死んだほうがましに決まっているわ」
「そうかな・・・」
奈緒は手元の書類に視線を戻した。奈緒が打ち込んでいた書類も新規の牝犬志願者の書類だった。牝犬とな
った人間はすべての人権を剥奪され家畜の身分に落とされる。当然その取り扱いには慎重が期されていて政府
の厳しい制約が課せられていた。
まずすべての牝犬志願者は成人でなければならなかったし、本人の自由意志に基づく志願でならなければな
かった。また晴れて牝犬となったあともきちんと適応して生きていけるかどうかについてもその容姿や性格そ
して健康などについて厳密な審査が要求されていた。その厳しい事前審査に合格した牝犬志願者のみが裁判所
の判決を得て初めて牝犬と認定されるのであった。
そして牝犬となったあとは人間の戸籍からは抹消され、あらたに保健所において牝犬として登録されること
になる。こうしてすべての人権は剥奪された家畜として扱われることになるのであったが、その後も動物愛護
の観念と犯罪予防の見地から所有や売買に関しては厳しい制約が課せられていた。また病気や老化などによっ
て廃用となった牝犬についても保護が義務付けられており勝手に処分することは許されていない。
奈緒が勤めている会社はこうした牝犬に関するすべての事務処理や調教そして売買などの代行をおもな業務内
容としていた。
牝犬志願者のほとんどは若い女性だった。少数だが男性の牝犬志願者もいたが彼らが晴れて牝犬となれた場
合はよっぽどの事情が認められない限りは性転換手術が施されることになる。もっとも男性志願者が牝犬とし
て認められる確立はかなり低かった。
牝犬に志願する人たちの事情はまさに人それぞれだったが、最も多い理由はやはり金銭問題だった。いま奈緒
がデーターを打ち込んでいる牝犬志願者もそんな女性の一人だった。
(24歳、女、志願理由・・・金銭問題)
データーを打ち込む奈緒の手が止まった。
(金銭問題か・・・)
政府は奴隷売買を禁じているので借金の形としてなどの直接的な金銭問題は認められない。ただし現実問題
として金銭を稼いで生きていく能力に欠けるなどのケースでは認められることも多かった。
奈緒が打ち込むデーターは牝犬志願者のものばかりではない。裁判所においてあらたに牝犬と認定されたも
のたちのデーターもあった。
牝犬たちには裁判所で登録番号が与えられる。そして牝犬たちはその番号で保健所に登録されることになるの
だった。奈緒や紀子たちはその番号ごとに牝犬たちのデーターをパソコンに打ち込む。パソコンは政府機関の
コンピューターにつながっているのでこうしておけば牝犬たちのデーターは世界中どこでも閲覧できるように
なるのである。
奈緒は新しく打ち込むデーターの資料に目を通した。それはあらたに牝犬と認定されたものたちのデーター
だった。その中にはしばらく前に奈緒自身がデーターを打ち込んだ牝犬のものもあった。
かたかたと音を立てて奈緒は登録番号をパソコンに打ち込んでいった。
(D220612FJPと・・・)
奈緒は登録番号を打ち終えた。奈緒がパソコンに打ち込んだこの番号は牝犬たちの肉体にも刻まれることに
なる。牝犬たちはその肉体にこの番号を焼き印されるのだった。奈緒が打ち込んできた番号はすでにかなりの
人数に及ぶ。奈緒は自分が打ち込んだ番号を白い尻に焼き印された牝犬たちの姿に思いをはせた。
第二話
06/12/03公開
一日の疲れを風呂で流した奈緒は身体にバスタオルを巻いただけの姿で髪の毛を乾かしながら今日の出来事
を振り返っていた。
(やっぱり紀子が言うように変態なのかな・・・)
奈緒は毎日自分が打ち込んできたデーターの女性たちのことを考えていた。
(そうよね、そうじゃないと牝犬なんかになれるわけないわ・・・)
ドライヤーを置いた奈緒は片手をその下腹部に伸ばした。柔らかな絨毛が奈緒の花園を守っていた。
牝犬になれば絨毛はすべて奪われる。それも一時的な剃毛ではなく永久脱毛処理を施されるのだった。奈緒
は自分の絨毛を強く引っ張ってみた。
「痛っ!」
奈緒は小さな悲鳴をあげた。奈緒の指には数本の絨毛がつままれていた。いま自分で引き抜いた絨毛だっ
た。奈緒はその毛をゴミ箱に捨てるとその指を絨毛に守られた秘裂のあいだに這わせていった。
「あんっ・・・だめ・・・」
妄想の中では奈緒はいつのまにか焼印を捺された一匹の牝犬になっていた。
あくる日も奈緒は紀子と一緒にパソコンに向かって牝犬やその志願者たちのデーターを打ち込んでいた。デ
ーターを打ちながら奈緒の脳裏に昨晩の妄想が甦る。資料の中の牝犬や牝犬志願者に自分がオーバーラップし
てしまう。
「人前で裸晒して四つん這いで生きていくだなんて、本当にけだものと同じねぇ」
そんな紀子の牝犬たちを蔑む言葉も、奈緒はまるで自分に向けられているかのように感じてしまい動揺を隠
すだけで精一杯だった。
(もしわたしが牝犬になりたいだなんて言い出したら、紀子はどんな顔するのかしら・・・)(きっと軽蔑す
るんだろうな・・・)
奈緒は社内を全裸で引きずりまわされ同僚たちから軽蔑の言葉を浴びせられている自分を想像した。
(わたしに耐えられるかな・・・)
とても辛いことに決まっていたが奈緒にはどこかしら甘美で誘惑的にも思えた。自分の中で牝犬になりたが
っている気持ちがあることを奈緒は今はっきりと自覚していた。
仕事を終え自分のアパートに戻った奈緒はすぐに服を脱いだ。白いショーツには大きな染みが出来ていた。
奈緒は恥ずかしそうに脱いだ服をかごに放り込むと飛び込むようにバスルームに入った。
今日の奈緒の目的は身体を温めたり洗ったりするだけではなかった。すっかり準備を終えると奈緒は下腹部の
絨毛にたっぷりと良く泡立てたクリームを塗った。そして剃刀を手にとりその柔らかな絨毛にゆっくりとあて
ていった。
「あんっ・・・!」
剃刀が肌に当たったとき奈緒は思わず甘い声を上げてしまった。奈緒の秘裂はクリームともお湯とも別の液
体ですでにたっぷりと濡れていて、全身がすでに敏感な状態になっていた。
(わたし・・・牝犬に近づくんだわ・・・)
そう思うと奈緒の中で気持ちが高ぶってきた。奈緒はその気持ちに押されるように剃刀を動かしてその絨毛
をジョリジョリと丁寧に剃っていった。
第三話
06/12/05公開
バスルームから出たとき奈緒の下腹部にあるべき絨毛はすべて失われていた。奈緒は鏡の前で絨毛を失って
童女のようになった自分の下腹部をやさしく撫でた。そして満足そうに微笑んだ。
(上手に剃れたわ・・・)
その美しい肌のケアを終え豊かな髪を乾かした奈緒はバスタオルすら身体に巻くこともせずに、全裸のままで
四つん這いになるとそのまま犬のようにベッドルームに這っていった。
ベッドルームに置かれた大きな姿見の前で奈緒は犬のチンチンの姿勢になった。姿見に映ったあさましい牝
犬姿の自分に奈緒は興奮した。
(ああ・・・なんていやらしいの・・・)
自分の中の淫らな心を否定したい、そう思いながらも自然と奈緒の右手は、守ってくれるべき繁みを失い剥
き出しにされた秘裂に伸びてしまう。
「ああん・・・」
奈緒は人差し指で敏感な牝核を刺激して思わず声を出してしまった。
(ああ・・・だめよ、わたし人間なのよ・・・)
しかし妄想のなかで奈緒はすでに牝犬だった。すべての人権を奪われ、名前の代わりに番号を与えられる一
匹の家畜だった。奈緒の人差し指はそのまま濡れそぼった秘裂の中に滑り込んでいった。
激しい自慰行為の後だったが、目が覚めたときは若さのせいもあってか奈緒の身体に疲れは全く残っていな
かったが心の中に余韻は残っていた。いやそれは余韻などという生易しいものではなかったかもしれない。奈
緒の中で今までもやもやしていたものが今はっきりと形をなしていた。奈緒の心は、はっきりとした確信を持
って一つの方向に向かっていた。
(やっぱり私の生きる道は牝犬しかないんだわ・・・)
いつもとは違った心を抱きながらもいつもと同じように出社した奈緒は、今日も紀子と席を並べてデーター
をパソコンに入力していた。しばらくして紀子が裁判所に書類を提出しに行くと言って席をはずした。
(いまがチャンスだわ・・・)
奈緒の表情が固くなった。そして大きな緊張に奈緒の心臓は早鐘のように鳴り出し、実際に鼓動する音が聞
こえそうなくらいだった。しかし奈緒の決心は揺るがなかった。
奈緒は震える手で牝犬志願者のデーターを入力し始めたが、その内容は手にしている書類の内容とは全く違っ
ていた。それは水原奈緒自身のデーターだった。
無表情のまま奈緒は自分のデーターを一つ一つパソコンに入力していった。
(もう後戻りはできないわ・・・)
奈緒は一度大きく深呼吸するとマウスをうごかして確認のボタンをクリックした。一度送られてしまったデ
ーターはもう奈緒一人ではどうすることもできない。奈緒にはもう後戻りの道は無かった。
第四話
06/12/15公開
昼休みも終わり紀子も戻ってきて再び席を並べてパソコンに向かいだしたとき血相を変えて課長があらわれ
た。
「み、水原君、ちょっとこっちへ来なさい!」
「はい」
あわてている課長とは対照的に奈緒は冷静に席を立った。心配そうな表情の紀子に「大丈夫よ」と一声掛け
ると奈緒は課長に連れられて事務室を出た。
課長に連れられて向かった先は社長室だった。
「水原君を連れてきました」
社長室の中に入ると険しい表情の社長と部長の二人が奈緒たちを待っていた。
「水原君、こちらに来なさい」
部長に命令され奈緒は社長の前に立った。
「水原君、これはいったいどういうつもりなんだい?」
社長は机の上にプリントアウトされた一枚の紙を置いた。それは奈緒が打ち込んだ自分自身の牝犬志願者と
してのデーターだった。
「これは君が打ち込んだものだろう。いったい何の冗談だ!」
「・・・」
厳しい言葉を投げかける部長に奈緒はうつむいて黙っていた。
「黙っていちゃわからない!何とか言いなさい」
部長の口調はさらに厳しさを増した。
「・・・・・・冗談ではありません・・・」
うつむいたまま奈緒は小さな声で答えた。
「えっ?」
部長が意表を疲れたような表情をした。それは社長も課長も同じだった。
「冗談じゃありません!」
今度は顔を上げて奈緒ははっきりとした口調で言った。
「冗談じゃない・・・?」
社長の言葉に奈緒はしっかりとうなづくと両手を制服のスカートの裾に掛けた。そしてゆっくりとスカート
の裾をゆっくりと捲り上げていった。
「・・・」
部長も課長も、そして社長も息をのんだ。誰も喋らないそして誰も動かない時間が止まったような重い空気
の中で、奈緒の両手だけがゆっくりとスカートの裾を捲り上げていった。
スカートの裾が捲くり上がってストッキングすら着けていない奈緒の白い磁器のように滑らかな太ももがあ
らわになった。そしていったん止まったあと奈緒の両手が一気にスカートの裾を捲り上げた。
「おお・・・」
誰がいったのかわからないが喚声のような声があがった。奈緒はスカートの下に下着すらつけていなかっ
た。しかしみんなが驚いたのはそのことだけではなかった。奈緒の大事な部分には本来あるはずの飾り毛が全
くなかったからだった。
たとえ剃っただけにせよ、まるで永久脱毛処理を施された牝犬のように絨毛のすべてを失った身体を自ら晒
した奈緒の気持ちに気づかない人間はこの場所にいなかった。
みんなの声にやっと正気に戻ったように肌を真っ赤に染めた奈緒はスカートの裾を元に戻した。
「・・・・・・冗談じゃありません・・・」
「わたし・・・真剣です・・・」
奈緒はそのまましゃがみこんで泣き崩れた。その細い肩に課長が優しく手を置いた。
「・・・君の気持ちは分かった・・・会社としてもきちんと対応させてもらうよ・・・」
社長の声は低く重々しかった。それは社長の真剣さをあらわしてもいた。奈緒は泣きじゃくりながらもうな
ずくと課長に肩を抱かれ社長室を後にした。
第五話
06/12/17公開
その日は課長の指示で奈緒は会社を早退した。夜になって仕事を終えた紀子から心配するメールが着たが奈
緒は当たり障りのない返事を返しただけだった。
(ああ・・・もう後戻りはできないんだわ・・・)
次の日は土曜日で会社は休みなのが奈緒にとっては救いだった。しかし月曜日は必ず来る。たぶん月曜日に
は会社のみんなも奈緒が自分で選んだ運命について知ることになるだろう。自ら望んだ道とはいえそのことを
考えると奈緒は気分が重くなった。
アパートの部屋に閉じこもったまま奈緒は土曜日を過ごし日曜日が訪れた。
(念願の牝犬になるんだもの、しっかりしないと!)
奈緒が自分にそう言い聞かせていたとき不意に玄関のチャイムが鳴った。
「あら!」
玄関を開けるとそこには紀子がいた。
「あがってもいい?」
紀子はそういいながらも返事を待つこともなく部屋の中にあがってきた。奈緒は紀子をテーブルに案内する
と紅茶を入れて出した。
「課長から聞いたわ・・・」
「・・・」
向かい合った奈緒に紀子が切り出した。
「それでね、わたしが奈緒の担当になったの・・・」
「そう・・・」
奈緒は緊張した。牝犬志願者になった以上、手続きのために担当がつくのは自然のことだったがまさか同僚
の、そして友人の紀子がなるとは思っていなかった。
「昨日、部長と課長に呼び出されてね、今後のことを話し合ったの・・・」
「・・・」
「でもね、いくら自ら志願したからってわたしたち奈緒がどれくらい牝犬に向いているのか全く分からないじ
ゃない」
「・・・」
「それでね、わたしが奈緒の牝犬としての適性をチェックすることになったの。だってわたしたちの会社の社
員が判決で不合格なんかになったら会社の恥じゃない」
「はい・・・」
奈緒は紀子の表情を見た。紀子は威圧的でありすでに奈緒の対等の友人ではないことは明らかだった。
「まずね、奈緒には会社から新しい制服が支給されることになったの」
そう言って紀子は持ってきた包みをテーブルの上に出した。
「開けてみなさい」
「はい」
奈緒は包みを開けた。中から出てきたのは今までの制服と同じデザインの制服だったが、決定的な違いはス
カートの裾の長さだった。新しいスカートの裾は膝上20cm以上はある超ミニスカートでとても事務員の制
服とは思えないものだった。
(こんなスカートじゃ・・・)
奈緒はあまりに短いスカートに驚いた。この裾の長さではちょっと姿勢を変えただけでスカートの中身が見
えてしまう。それどころか身を屈めたりしたら尻を隠せるかどうかも疑わしかった。
「フフフ、素適でしょう。明日からはこの制服で働いてもらうわ。だから今までの制服はここに持ってきなさ
い!」
しかし紀子の口調には有無を言わせないものがあった。奈緒は従うしかなかった。
「はい・・・」
奈緒は洗濯の終わっているきれいにたたまれた古い制服を紀子に差し出した。
「そうそう、あとね今日からはショーツもブラジャーも禁止よ。もちろん勤務中だけじゃないわよ。だからこ
の部屋にある下着も全部ちょうだい!」
「そ、そんな・・・」
さすがに奈緒もすぐには従えなかった。部屋の中だけならばともかく通勤では電車に乗らなくてはならな
い。しかしそれよりも問題なのは会社でだった。今日与えられた新しい制服ではショーツをつけていなければ
大変なことになってしまう。ショーツを見られることすら恥ずかしいことなのにそれすらも許されないとなる
と・・・奈緒の心を言い表せない不安が覆った。
「あら、反抗的ね。でもね奈緒、牝犬になったら全裸だって晒さなきゃいけないのよ。わたしだって奈緒にこ
んなことさせたくないわ・・・。でも奈緒のためだと思って・・・」
話しているうちに紀子の言葉は涙声になってきた。奈緒は牝犬に志願していながらわがままを言ってやさし
い友人を困らせている自分が恥ずかしくなった。
「・・・ごめんなさい・・・」
奈緒は紀子に謝ると、タンスを開けて中の下着をすべて紙袋に入れて紀子に渡した。
「わかってくれて嬉しいわ。でも奈緒、まだ下着は残っているじゃない、それもちょうだい!」
「えっ?」
奈緒は当惑した。部屋にあったすべての下着はもう紀子に渡したはずだった。
「わからないの?奈緒が着ているのがあるじゃない!」
「そ、そんな・・・」
「さあ、その服も脱いで下着を渡しなさい!」
いまさら逆らうわけにもいかなかった。奈緒は紀子の目の前で室内着のワンピースを脱ぐと、残っているブ
ラジャーとショーツを脱いで紀子に渡して全裸になった。そしてそのまま床に直接正座をして紀子から明日以
降の指示を受けた。
第六話
06/12/25公開
月曜日、奈緒は普段よりもだいぶ早く出社した。もちろん他人と顔を会せないうちに着替えてしまおうと思
ったのと朝のラッシュを避けてのことだった。
ミニスカートからストッキングを着けていない生足を大胆にさらし、中身はノーパンノーブラという破廉恥な
身なりだったが時間が早かったこともあって電車内はすいていて痴漢に会うこともなかった。しかし一人更衣
室で着替えを始めるとすぐに紀子が現れた。
「あっ!」
奈緒は反射的に脱ぎかけていた服で身体を隠した。一切の下着を身に着けていない奈緒は全裸に近い姿だっ
た。
「フフフ、いいのよ、着替えを続けなさい」
「はい・・・」
奈緒は急いで昨日紀子から渡された制服に着替えた。
「ちゃんと命令に従えたようね」
事務員と呼ぶにはいやらしすぎる制服に身を包んだ奈緒を見て紀子は満足げにうなづいた。
奈緒の新しい制服はスカートの裾が短いばかりではなく全体にサイズが小さすぎた。そのため奈緒の体のラ
インが極端に強調されている。さらにブラウスは第二ボタンまではずされていてそのうえベストの着用は許さ
れていなかったので乳首が透けてしまい、ブラジャーを着けていないことは誰の目にも明らかだった。
「素適な格好ね。自ら牝犬に志願するような淫らな奈緒にはふさわしい制服だわ」
「ひいっ!」
紀子はブラウスの上から奈緒の乳房の先端のふくらみを強く抓った。
「奈緒、あなたも牝犬になるんだからもっと嬉しそうな顔をするのよ。まあ今日は許してあげるわ。とにかく
その姿をみんなに見てもらいに行きましょう」
紀子は戸惑う奈緒を連れて社長室へ向かった。
その日は朝から全社員を集めての緊急会議となった。もちろん会議のテーマは奈緒の処遇についてだった
が、事情を知らない社員たちはわけがわからない様子でざわついていた。
そこへ社長が部長を連れて入ってきた。
「今朝はみんなに大事な報告がある」
神妙な社長の表情に会議室にいる全員が静まり返った。
「これまで事務員として会社に尽くしてきてくれた水腹奈緒君だが、本人たっての希望があってね、」
社長は一度言葉を切った。
「水原君はどうしても牝犬たちの心が知りたいというんだよね。そこで会社としても水原君とはずいぶん話し
合ったのだが事務員は辞めてもらい新しい職務についてもらうことになった」
「制服も今までのものとは変わって新しい職務にふさわしいものに変わったので最初のうちはみんなも戸惑う
とは思うが、これも水原君の志をたてるためだと思ってみんなもぜひ協力してあげて欲しい。町谷君、水原君
を連れてきなさい!」
「はい!」
紀子は勢い良く返事をして席を立つと奈緒を呼びに会議室から出て行った。
「フフフ、奈緒、みんなが待っているわ。いきましょう」
紀子は社長室で待機していた奈緒を連れて会議室へ向かった。
(これがわたしの望んだ道のはじまりなんだわ・・・)
奈緒は希望と絶望が交じり合った不思議な気持ちで紀子についていった。
「お待たせしました!」
再び紀子が会議室に戻ってきた。あとに続いて入ってきた奈緒の姿に何も知らない社員たちは息をのんだ。
(ああ・・・もう完全に後戻りできないのね・・・)
社員の視線を浴び奈緒は少しでも身体を隠そうとミニスカートの裾を下に伸ばすように押さえてうつむい
た。しかしそのことがかえって社員たちの注目を奈緒の身体に集めることになってしまった。
「水原君、先週まではおなじ社員同士だったかもしれないが、これからは君が奴隷として仕える社員の方々
だ。さあ、みんなに挨拶しなさい」
言い表せないような恥辱感に震える奈緒に社長が追い討ちを掛けるように命令をした。
「はい・・・」
奈緒は社長の命令に自分でも不思議なくらい自然に身体が動いた。
第七話
07/01/02公開
奈緒はその場でひざまずいて全社員の前で土下座をした。他の社員たちは状況が理解できず当惑した様子だ
った。
「・・・わたしは・・・会社に頼んで牝犬にさしていただくことになりました・・・」
たどたどしい口調ながらもしっかりと奈緒は話し出した。
「正式に牝犬として認定され収容されるまでのあいだ、会社のご厚意でこのまま会社で働きながら牝犬修行を
させていただくことになりました・・・」
「・・・どうかみなさん、見習い牝犬奴隷の奈緒をご調教のほど・・・どうかよろしくおねがいしま
す・・・」
言い終えると奈緒は額を社員たちが土足のまま歩く床にこすり付けるほどに下げた。
「ハハハ、そういうわけだからみんなもぜひ水原君の志を酌んであげて今日からは同じ人間としてではなく一
匹の見習い牝犬奴隷として接してあげて欲しい。さっきも少し話したが彼女には見ての通り見習い牝犬奴隷に
ふさわしい服装で働いてもらう。当然仕事も今までの仕事ではなく最下等の奴隷社員としてそれにふさわしい
仕事をしてもらう。なにせ初めてのことだしみんなも戸惑っているだろうがこれも水原君のためだと思ってよ
ろしく頼むよ!」
社長は大仰な訓示を終えると、スカートがまくれ上がって剥き出しになった奈緒の白い尻を靴のまま蹴り飛
ばした。
「・・・はいっ!」
社長の横暴ともいえる行為は社員たちに奈緒が今日からは同じ身分の人間ではなく下等な存在になったこと
を視覚で強烈に伝えたのだった。そして社員たちの奈緒を見る目も最初の心配そうな不安げな目から、自分た
ちよりも下等な存在に対しての嗜虐心を帯びた冷たい目に変化していたのだった。
会議が終わったあとしばらく社長室で今後についての話を部長と課長も交えて話し合ったあと奈緒は慣れ親
しんだ今まで働いていた事務室に戻った。
「・・・みなさん・・・どうかよろしくお願いします・・・」
部屋に入ると奈緒は改めて頭を下げた。そして自分の席に向かおうとして足を止めた。
「・・・紀子?」
奈緒の席では紀子が中心になって荷物の整理を行なっていた。
「あら、戻ってきたの」
紀子が奈緒に歩み寄ってきた。
「フフフ、牝犬になる奈緒にはもう必要がないから片付けているのよ」
紀子は威圧的に奈緒に言った。そして言い終えたあといきなり奈緒の頬を平手で強く叩いた。
「えっ!」
いきなり頬を叩かれ奈緒はわけがわからず目を白黒させた。
「あなたは見習いとはいえ牝犬奴隷社員よ。私のことを紀子だなんて気安く呼ぶのは許さないわ。これからは
町谷様と呼びなさい。他の社員も同じよ!」
「・・・はい・・・」
奈緒にとって紀子は今までの紀子とは全くの別人になっていた。
「フフフ、それから私があなたの指導係になったからよろしくね」
奈緒を見る紀子の目は嗜虐心に満ちていた。そしてそれはまわりで成り行きを見ている他の社員たちも同様
だった。
第八話
07/01/04公開
紀子は奈緒の机の荷物をきれいに片付け終わると、奈緒を事務室の外へ連れ出した。向かった先は女子更衣
室だった。
「さっきみんなと話し合ったんだけれどこの更衣室は女子更衣室であって牝犬用じゃないからあなたの荷物は
全部出してもらうわ」
「えっ、でもそれじゃ・・・」
「フフフ、仕方ないでしょ。だってみんな牝犬と一緒じゃ嫌だって言うんだもの」
「で、でも・・・」
「フフフ、安心して。牝犬なんだかどこでも良いなんて意見もあったんだけど、私が奈緒のために良い場所を
見つけておいたから」
「・・・」
紀子にそう言われては奈緒ももう何も言えなかった。更衣室に入ると奈緒は泣き出しそうな目をしながら荷
物の整理に取り掛かった。
以前使っていた制服はすべて奈緒に没収された。奈緒は私服とわずかな荷物だけを持って更衣室を出た。そ
して次に連れてこられたのは掃除道具の倉庫として使われている狭い部屋だった。
「今日からここがあなたの更衣室よ。そしてトイレでもあるから・・・。やっぱりみんな女子トイレは使って
欲しくないって言うのよ。そうそう、そこに汚水を流す流しがあるでしょ。これからはトイレはバケツにして
そこに流してね」
「・・・」
奈緒はあまりのことに返事もできなかった。しかしいまさら逆らうことなど出来るはずもなかった。奈緒は
泣きそうな目で床に冷たい汚いタイルが貼られた埃っぽい部屋を見渡した。
(ここが私の部屋・・・いいえ、檻なのね・・・)
奈緒はあまりに惨めな仕打ちに眩暈がするほどだったが新しい被虐の始まりに妖しい期待を喜びを感じても
いた。
奈緒に与えられた仕事は事務所やトイレの掃除、お茶入れや書類のコピーなどの雑用だった。簡単な仕事と
言ってしまえばそれまでだが一人でやるとなると結構大変なものである。しかも社員たちは奈緒に好奇の目を
向けることはあっても、もう一切の同情も感じていないのだからその扱いは次第に過激なものへとならざるを
得なかった。
男性社員のセクハラは女性社員の目を慮ってか人前ではほとんどなく奈緒を安心させたが、その分女性社員
たちのストレス発散をかねての虐めは慣れるにしたがって過激なものへとなっていった。
「牝犬奴隷に靴なんて要らないと思わない?」
つい先日までは奈緒を慕っていた新人社員の意見で奈緒の靴は取り上げられ裸足で勤務することになった。
下着すら許されない淫らな制服は恥ずかしいものだったが靴を奪われたことはそれ以上に惨めで屈辱感をかき
たてるものだった。
奈緒は靴すらはけない淫らで惨めな姿で女子社員たちが落とした鉛筆や消しゴムまで拾わされた。男性社員
たちも奈緒がしゃがむたびに短いスカートがまくれ上がって白い滑らかな肌の尻が見られるので誰も文句を言
うものはいなかった。
第九話
07/02/11公開
牝犬社員として家畜勤務を始めた奈緒を調教するかたわらで紀子は奈緒の牝犬登録の申請の手続きにも入っ
ていた。
「あなたほどのマゾなら裁判所の審査も楽で良いわ」
紀子は足元に奈緒をひざまずかせながら上機嫌だった。牝犬申請の審査は厳しい。本人の志願の意思がいく
ら固くても適性が無ければ審査では合格しない。奈緒の場合はすべてにおいて問題が無く紀子にとっては楽な
仕事だった。
「フフフ、この分ならすぐに審査おりるわよ。来月には晴れて人間卒業よ。もっと奈緒のこと時間かけて調教
したかったけれどちょっと残念ね」
「・・・」
奈緒は紀子の足元でうつむいたままだったが内心では少し安堵した。
(ああ、もう少しで犬になるのね・・・)
被虐心の強い奈緒にとって今の環境は理想的とも言えるのだがやっぱりかつての同僚たちの前で恥をさらし
続けるのは辛かった。それに人間の尊厳を奪われていながらも牝犬でもない今の中途半端な状況は奈緒にとっ
てやっぱり辛かった。
「お昼までまだ少しあるわね・・・。奈緒、トイレ掃除してきて!」
牝犬奴隷社員になって以来トイレ掃除は奈緒の仕事だった。男性社員たちは奈緒が掃除すよようになってか
ら帰って気を使っていたため男子トイレの掃除は楽だったが女性社員たちはそうは行かなかった。どうせ奈緒
が掃除するんだからといわんばかりだった。奈緒は便器にこびりついたり床にこぼれたりした排泄物を直接手
で掃除しなければならなかった。
「まじめにやってる?」
奈緒が汚れた便器を掃除していると紀子が入ってきた。
「はい・・・」
「きちんときれいになったようね」
「・・・」
奈緒は紀子が手にしている袋を見て暗い気持ちになった。
(またなのね・・・)
奈緒は自ら選んだ、そしてマゾヒストとして逃れることの出来ない運命をただ素直に受け入れ
るしかなかった。
「自分できれいにしたんだから大丈夫よね?」
紀子はそういって袋の中身を和式便器の中にあけた。袋の中に入っていたのはドッグフードだった。
「うっ・・・」
便器の中にあけたドッグフードを食べさせられるのも奈緒は初めてではなかった。しかし何度させられても
なれるということは無かった。
「フフフ、さあ早く食べなさい。自分できれいにしたんだから大丈夫でしょう。お昼休みになったらみんなト
イレに来るわよ。それまでに食べないとみんなのおしっこやウンチまみれになったドッグフードを食べること
になるわよ!」
「はい・・・」
いくら奈緒でも排泄物まみれのドッグフードはまだ食べられなかった。奈緒はあきらめきった表情で便器の
前にかがみこむと顔を便器の中につきこんでドッグフードを食べだした。
第十話
07/11/16公開
奈緒が牝犬奴隷社員となってからはやくも一月が流れていた。社内にはもう誰も奈緒を人間扱いするものは
いなくなっていた。掃除のおばさんまでもが汚い野良犬でも見るような目で奈緒のことを見ている。
クチュクチュ・・・
いやらしい淫らな湿っぽい音が社長室に響いていた。破廉恥な制服を若い肢体にまとっただけの奈緒は床に
直接正座していた。若々しい形の良い胸も尻もまくれあがった制服の小さな布では隠し切ることが出来ず白い
肌をあらわにさらしていた。
「うっ・・・うんっ・・・」
ねっとりとした奈緒のうめき声がこぼれた。
奈緒は両腕を後ろ手に麻縄できつく縛られ、前に立つ男性のペニスにフェラチオを強いられていた。前に立つ
男は社長ではない。社長は社長席から奈緒の淫らな奉仕を満足そうに見ているだけだった。奈緒の前には5人
の男性社員が便所の順番を待っているかのように並んでいた。
「おい、早くしてくれよ!」
うしろの男性が行列の先頭の男性に冷やかすような言葉をかけた。
「ハハハ、あわてるなって。なかなかうまいぞ・・・おっ!」
奈緒の前に立つ男性社員が思わず腰を引いた。
奈緒は後ろ手に縛られた半裸とも言える惨めな姿で、身体を前に立つ男性にもたれかかるようにあずけて、
男性のペニスを花びらのような可憐な唇で咥えてフェラチオをさせられていた。
「どうだい、水原君のフェラチオは?」
社長の言葉に男性社員達は感謝の言葉を並べた。5人の男性社員は特に営業成績が優秀と認められた社員達
だった。
牝犬奴隷社員に自ら望んで堕ちる前はまったく男性経験のなかった奈緒だったが、一月に渡る調教の日々で
その淫技は商売女のように鍛えられていた。両手を後ろ手に縛られた不自由な姿勢にもかかわらず、奈緒は男
性社員達をあっというまに次々と頂点に到達せしめていった。
「うっ!」
男性社員が頂点に達すると、奈緒は上目遣いに愁いの帯びた視線を男性社員に投げかけ、それからあきらめ
たように目をつぶって口内にはき出された精液をゴクリと飲み干した。
第十一話
08/02/04公開
その日はよく晴れていた。奈緒は陽射しをかわすように手を眉の上にかざすと後ろを振り返った。
(これが見おさめね・・・)
久しぶりに普通の若いOLらしい衣服に身をつつんだ奈緒は、今日まで勤めてきた会社のビルを懐かしげに
見上げた。新入社員だったころのこと、仕事に熱心に取り組んでいたころのこと、そして牝犬奴隷社員に志願
してからのこと、今となってはどれも懐かしい思い出だった。
「さあ、のんびりしてないで、行くわよ!」
「は、はい!」
感傷に浸る奈緒を紀子がせかした。
奈緒の牝犬志願の申請が裁判所によって認められたのはつい先日のことだった。通常は相当の猶予期間を経
てから裁判所に出頭し、正式に人権の停止を宣告され牝犬として収容されることになるのだったが、奈緒に猶
予期間は必要なかった。
奈緒はすぐにでも正式な牝犬になることを望んでいたし、会社もそれを許可した。
二人が裁判所に着いたのは正午の少し前の時間だった。
「少し早く来すぎたようね。お昼でも食べようか。」
裁判所の前で腕時計を見た紀子が誘ったのは、OL時代に奈緒も良く通っていた喫茶店だった。
「なんだか新入社員のころみたいね。」
緊張して顔をこわばらしている奈緒をみて紀子が笑った。
「そ、そうかしら!?」
奈緒はあわてて笑顔を作ったが、その笑顔は引きつっていた。
「うふふ、緊張するのも仕方ないわよね。だってもう何時間かで人間じゃなくなるんですものね。」
「・・・」
奈緒は裕香の言葉に返事をすることができなかった。
(そう・・・もう人間じゃなくなるんだわ・・・)
うなだれたようにうつむく奈緒の前にウェイターがランチのナポリタンを持ってきた。紀子の前にも同じも
のが並んでいた。
「奈緒の人間としての最後の食事よ。よく味わって食べなさい。だって夕食の時間には奈緒はもう牝犬になっ
てるんだから。」
紀子の口調は穏やかだったがそれだけに奈緒の心に突き刺さるものがあった。
(・・・)
奈緒の頬を涙が流れた。
(ついにここまで来てしまったんだわ・・・そしてこれが自分で望んだ現実なんだわ・・・)
奈緒は涙を拭うとフォークを手に取った。牝犬に志願して牝犬奴隷社員となって以来、奈緒の食事はドッグ
フードや残飯のようなものばかりだった。奈緒は久しぶりの人間らしい、そして人間として食べる最後の食事
を一口一口かみ締めるように味わいながら食べていった。
第十二話
08/02/14公開
人間として暮らしてきた暖かい過去の思い出をかみ締めるように、静かにゆっくりと食事を続ける奈緒の頬
を涙が流れ落ちた。
(この食事が私の人間としての最後の食事・・・いいえ、それどころか人間らしく過ごせる最後の時間なんだ
わ・・・。あとは牝犬になるまで、ただ過ぎるのを待つだけの時間なのね・・・)
奈緒の頬を流れ落ちる涙は止まることがなかった。紀子は奈緒の涙に気付いていたが奈緒の顔を見ることもな
く黙ってうつむいたまま食事をつづけた。
食事を終え店を出たとき奈緒は、人間として過ごしてきた時間が終わったことを確信した。
「さあ、行きましょう」
「はい・・・」
紀子は小刻みに震える奈緒の手を握ると、裁判所に向かって一直線に歩き出した。
(もう私は人間じゃないんだわ・・・。まだ牝犬でもないけれどもう人間じゃない・・・。牝犬になるのを待
つだけの中途半端な存在・・・)
奈緒は不安な心を落ち着かせようとするかのように紀子の手を強く握り返した。
奈緒にとって何度も来たことがある馴染み深い裁判所も今回は特別に感じられた。建物の内部を行き交う
人々の誰もが自分を見ているように感じられた。
実際、顔見知りの職員も少なくない。彼らが奈緒が牝犬になることをすでに知っていることはその表情からも
明らかだった。
(恥ずかしい・・・)
紀子が窓口で手続きをしている間、奈緒は好奇の視線にさらされつづけた。
(ああ、早く牝犬になりたい・・・。牝犬になりさえすれば解放される・・・)
牝犬になれば原則として着衣は認められない。常識的にはより恥ずかしい姿をさらさなければならないのだ
が、奈緒にとってはそうなることこそが解放された姿だった。
(牝犬になればもう恥ずかしいなんて思う必要すらないんだわ・・・)
奈緒は好奇の視線に耐えながら紀子の手続きが終わるのを待った。
窓口での手続きを終えた二人が案内されたのは奥まったところにある小さな部屋だった。他の部屋からは切
り離され、外部との連絡が取りやすい位置に設けられたその部屋は奈緒のような牝犬志願者専用の部屋だっ
た。
「いよいよね。あと少しだから頑張ってね。」
部屋の前で紀子は奈緒の両手を強く握りしめると、にっこりと微笑んだ。
「私が一緒にいてあげられるのはここまでだけど、奈緒なら大丈夫よ。今まであれだけの調教にも耐えてこれ
たんだもの。きっと立派な、一人前の牝犬になれるわ。」
優しく語りかける紀子の顔は、かつて席を並べて働いていた同僚、友人だったころと同じ表情をしていた。
「うん・・・頑張る・・・頑張って立派な牝犬になるわ・・・」
奈緒は涙をこらえることが出来なかった。二人はお互いを強く抱きしめあうとしばらく別れを惜しんだ。
第十三話
08/02/22公開
紀子と別れて一人で部屋に入った奈緒を待っていたのは、年配の男性の裁判官と制服を着た警備員だった。
白髪交じりの裁判官はきわめて事務的な口調で奈緒の名前、年齢、住所などの基本情報を確認し、それが終
わると申請書に書かれた奈緒の志願理由を読み上げ、それが自由意志によるものであることを確認した。
「はい。その通りです。」
奈緒の返事は今までの不安に怯えたような態度が嘘のように自信に満ちたものだった。
「そうですか。分かりました。」
裁判官は感情を持ち合わせないかのように事務的に応えると、牝犬となることによって奈緒が失う権利、ま
た与えられる保護などについての説明を始めた。
(ああ、いよいよ牝犬になるんだわ・・・)
裁判官の説明は人間性の剥奪という恐ろしい内容だったが、奈緒には陶酔感を誘う甘い誘惑のように聞こえ
た。
ひととおり説明を終えた裁判官は奈緒の前に一枚の書類を差し出した。
「こちらにサインをすれば手続きは終了です。あなたの人権はすべて剥奪され牝犬としての新しい人生が始ま
ります。サインを拒否すればこれまでの手続きはすべて取り消されます。これがやり直す最後のチャンスです
よ。」
「・・・」
奈緒は目の前に差し出された書類に眼を落とした。もちろん覚悟はすでに出来ている。緊張感が部屋を支配
するなか奈緒は黙ってペンを手にとった。
「大丈夫・・・」
奈緒は自分に言い聞かせるようにつぶやくと書類に丁寧に自分の名前を書いた。
(ああ、名前を書くのもこれが最後・・・。これでもう牝犬なんだわ・・・)
名前を書き終えた奈緒は目を閉じると静かにペンを置いた。
裁判官は書類を受け取ると黙って確認した。大きな判子を捺すと時計を確認した。
「水原奈緒の人権は今を持ってすべて剥奪され、牝犬、登録番号D231001FJPとなったことを宣告す
る。」
厳かな雰囲気をかもしつつ行なわれる裁判官の宣告を奈緒は背筋を伸ばして聞いた。
(ああ・・・やっと願いがかなったんだわ・・・)
牝犬になった実感に奈緒の胸に熱いものがこみ上げてきたが、牝犬には感慨に耽っている時間はなかった。
「牝犬はただちに椅子から降りるように!椅子は人間が座るためのものです。」
裁判官の厳しい言葉に奈緒はあわてて椅子から降りて、床に直接正座をした。
裁判官は奈緒の素直な態度に満足そうにうなづくと、警備員に向かって次の指示を与えた。
「この新しい牝犬を牝犬にふさわしい姿にしてあげてください。」
「はい。」
裁判官の指示に答えた警備員は一見無表情だったが、その口元が少しだけいやらしく歪んだのを奈緒は見逃
さなかった。
「あっ!」
警備員は奈緒の前に来るといきなり腕をつかんで立たせると強引に服を脱がせ出した。
(いっ、いやっ!)
奈緒は反射的に身体を硬くして身構えたが警備員は容赦なかった。力強い腕で引き裂くように服を脱がせて
奈緒を全裸にさせると、頭を押さえつけて強引に四つん這いにさせた。
(牝犬には自分で脱ぐ自由すらないのね・・・)
奈緒が牝犬生活はまだ始まったばかりだった。これまでも激しい陵辱を受けてきた奈緒だったがそれでも人
間であることにかわりはなかった。しかし今の裁判官や警備員の態度はまったく異質のものであった。そして
その態度は奈緒に自分がすでに単なるサディズムの対象ではなく、人間外の家畜それも最も卑しい身分の牝犬
として扱われていることを実感させた。
全裸にされ四つん這いにさせられた奈緒の細い首に裁判官が赤い犬の首輪を取り付けた。首輪には牝犬登録
番号が刻まれたステンレス製の鑑札が取り付けられていた。
第一部完

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